Untitled Trueman's Digital Archive

~Gallery of Hindsight 2020~

Love for Sale

f:id:Untitledtrueman:20210311004459j:plain

月島 2020

当たり前かもしれないけど、写真って何で撮るか、じゃなくて、何を撮るか、なのよね。だから私、決めたの。手持ちのカメラを使うことにもっと集中しようって。これって今風にいうと、「全集中〜!」てこと(笑)?

f:id:Untitledtrueman:20210311004540j:plain

チェット・ベイカーって、60年代に入る前に薬物中毒で亡くなったものと思っていたんだけど、1988年まで生きて、現役として音楽活動していたのね。それも結構精力的に。「Love for sale」っていう映画を見て初めて気がついた。クスリで相当ボロボロになっちゃってたみたいだけど、中身が「濃い」印象があるわよね、演奏に。

f:id:Untitledtrueman:20210311004606j:plain
毎朝ジョギングして、ノンアルコールビールで喉を潤して、ホテルのラウンジで夕方6時半開演のステージに立つ健康なミュージシャンが演奏する「薄い」音楽と、薬物中毒でボロボロで、クスリ代で借金漬けになったミュージシャンが真夜中過ぎに場末のバーで演奏する「濃い」音楽と、どっちがいいかっていうと、これはこれで、難しい問題ね。

f:id:Untitledtrueman:20210311005011j:plain

でも、2年ほど前にパリに行ってジャズ聞きに行ったけど、1994年に「地球の歩き方」とか、ホテルに置いてあったプレイガイド(って死語?)を頼りにお店をハシゴして、あちこちでジャズの演奏を聴いたときに感じたあの「生」な感じは、もうなかったわね。何かが終わっちゃったんだな、って思いました。本当にあれは、がっかりだったわね。

時の経過とともにいつの間にか失われていくものって、あるわね。間違いなく。あら私のお肌のツヤもそうかしら、ホホホホ。

f:id:Untitledtrueman:20210311004959j:plain

1980年代に開高健の「オーパオーパ!!」の取材部隊に同行した料理人の方を主人公にして2011年ごろに作られた記録番組見たんだけど、つくづく思いましたね、昔の人は濃かったんだなって。あんなに元気のある人たちって、もうどこを探してもいないよね。いなくなったと思う。世界が終わっちゃったんだな、って、かつて開高健文豪以下、取材部隊の連中が文豪の釣ったオヒョウの姿作りを貪るように食いまくったであろう、同じ食堂で、4人ぐらいで、思い出話しながら、ボソボソとこじんまりと食事をしている絵を見て、なんだかしみじみしちゃいました。

f:id:Untitledtrueman:20210311010314j:plain

世界から「主役」がいなくなっちゃったのかなって。まったく、歴史が展開するとともに真実が立ち現れるなんて言ってた人がいたような気がするけど、そんなの世迷言だったって、奇しくも歴史が証明した格好ね。私たち、まるでばっかみたいね〜。