ゾシマ長老の教えに教えられる
「いや、ディドロのことではありません。大事なのは、自分に嘘をつかないことです・・・」
「自分に嘘をつくものは、他の誰よりも腹を立てやすい、何しろ、腹を立てるというのは、時としてたいそう愉快なものですからね。そうではありませんか?なにしろ、本人からしてわきまえているのですよ。自分を傷つけたものなどだれもおらず、本人が勝手に傷をこしらえ、体裁をつけるためにほらを吹き、絵としてさまになるように誇張し、他人の言葉尻をつかまえては、針ほどのことをまるで棒のように触れまわっていることを。」
(「カラマーゾフの兄弟」第2篇「場違いな会合」亀山郁夫訳 光文社古典新訳文庫)
いや全くもって、長老様のおっしゃる通りでさあ!いったい何で、みんなこんなに簡単なことに気がつかないんでしょうね?確かによく注意をしてみると、腹を立てている人間というのは確かに一方で実に愉快そうにもしているわけですし、おまけにあれです、自分は今最高にカッコいい、と自惚れて陶酔しているような節さえ感じますんですから、へえ!
・・・と、思わずフョードル父さんと一緒になって、感心しちまったってわけです、へえ。